東京製本倶楽部25周年記念
日比谷でルリユール「装飾」
「ルリユールの装飾は、かつて長年月の間、ほとんどつねに、作品とは無関係に、時代の様式に影響されていました、宗教的あるいは建築学的著作の場合は時に別として。その反対に、現代の装飾は、ますます作品との和合をもとめています。」これは装飾家ポール・ボネが1949年12月にパリで行った講演の記録、『書物装飾・私観』(小宮正弘訳、指月社刊)の中の言葉です。当時はアールデコを経てキュビズムやシュールレアリズムなど芸術活動と呼応して、ルリユールが作られた時代です。画家が挿画などを手がけることも多く、挿絵本の全盛期でもありました。
その講演から75年、遠く離れた日本でもヨーロッパで育まれたルリユールが作られています。伝統的な和本の様々な様式や技法もあり、多くの製本スタイルのバリエーションが生まれています。書物の装飾には文字や挿絵、図、レイアウト、デザインなど多くの要素があり、どれも鑑賞と研究の対象となっています。製本様式の変遷は、デザインの歴史とも関連し、その本がどのように読まれ、現在まで残されてきたかを示す手がかりにもなります。
日比谷図書文化館4階特別研究室には和洋の16世紀から20世紀までの各時代の特徴を残す本も多く所蔵されています。18~19世紀の本も多く、古版本から機械製本で大量の本が作られるようになる時代までの装飾や製本スタイルの変遷を見ることができます。
このたびは、特別研究室の展示が「民族衣装の世界」をテーマにしていることに連動して、ファッション、インテリアからデザイン全般まで広い範囲の「装飾」をテーマにしたルリユールを展示いたします。16世紀の古版本から現代のルリユールまで、多様な書物の装飾と製本スタイルをどうぞご覧ください。
東京製本倶楽部
2024年2月20日-4月14日
日比谷図書文化館 3階エレベーターホール
東京都千代田区日比谷公園1-4
https://www.library.chiyoda.tokyo.jp/